うすすり

 第1回目のうすすりをする。ばあちゃんははたしてできるだろうか?
 まず機械を用意するのに、ばあちゃんを階下のガレージ兼作業場に連れておりる。機械の横のパイプ椅子に座らせた。ばあちゃんはぼーっと眺めている。夫が「今から何するか、わかるか?」と訊く。「わかりません」とばあちゃんが言う。夫は「あかんか」と言いながら用意を進める。
 用意ができて乾燥機から籾を落とし、うすすり機に入れる。籾殻が取れて玄米が出てくると、米撰機に入り、回転しているうちに、小米と普通の大きさの米に分けられて出てくる。
 ばあちゃんの仕事は、うすすり機の下の方の小さな穴から落ちてくる籾殻つきの米をかき出し、入れ物に入れて、もう一度うすすり機の入り口に入れる。夫が「ここの米をかき出して、上に入れる」と教えた。ばあちゃんは「どないしますのん?」と言いながら、米をかき出す。「上に入れる」と言うと、そのとおりしてから、また「どないしますのん?」と訊く。また教える。そこで、ばあちゃんをつきはなす。そばにいると、まだまだ何度も同じ質問をしてくる。誰もいないと、勝手にやっているではないか。体が昔やっていた動作を思い出したのだ。
 ばあちゃんは1時間半を頑張った。なんとか終わった。30kg入りの袋が14個できた。
 でも、疲れた。ばあちゃんを見ながら、仕事をするのは3倍疲れる。ばあちゃんが手伝ってくれて楽になるより、大丈夫かな?けがしないかな?と、はらはらするほうがずっと疲れる。もう次からは、ばあちゃんがデイサービスに行っている間にやってしまおう。