整頓と集中力

 ばあちゃんは今日から月曜日までのステイだ。
 昨日は送ってもらって家に着いてからも、車から降りたくなくて「あした、迎えに来るから、今日はおしまい」と言われても、まだしつこくねばっていたが、朝起きると「行くのだ」と覚えていたらしい。
 服をかかえて廊下を歩いてきた。とりあえず、床に置いて、トイレに行き、私が用意した普段着を着せた。顔を洗って、廊下に置いた服を部屋に持って行った。見ると、ズボンが2本、でんち、上着が2枚だった。これはばあちゃんが箱から出した物だ。行李に服が無いので、自分で箱を開けて出したのだ。「えらいこっちゃ。何も無い。出さねば...」とは思うのだ。今の季節に何を着ればよいか、がわからないだけだ。「ばあちゃん、これは、いらん。たたんでなおして」と言うと、1枚ずつたたんで行李に入れた。
 実は、ステイの帰りに送って来てくださったスタッフに「集中力がありますね」と言われた。「洗濯物もきちんとたたんでくれはるし、封筒のはんこ押しも真っ直ぐ押してくれはるし、集中してますよ」と聞いたときは、まさか!ばあちゃんは私が綺麗に種類別に並べた衣類をすぐにぐちゃぐちゃに混ぜるし、はんこも上半分がかすれていたやんか、と思ったのだ。入所している人たちがよっぽど何もできない人たちで、ばあちゃんができるように見えるのだろう、と思ったのだ。
 でも、こうして見ると、ばあちゃんもやったらできる。たたんで順番に入れているではないか。これは、ステイでやらせてもらったおかげだろう。「こんで(これで)よろしぃか?」としつこく訊くし、そばについていないとやめてしまうから、マンツーマンで指導してもらったのだろう。ありがたいことだ。