「ちょっと」

 お出かけモードがなおらない。ついにあほらしくなり、私が犬を連れて出た。すと振り返ると、すぐさまついて来たらしいばあちゃんがえらい速く歩いている。しかたない。後戻りして、ばあちゃんに「どこ行くの?」と訊くと「ちょっと」と言う。あやしい。畑ではないようだ。「畑はぐちゃぐちゃやから、家の草引きしよう」と連れて戻る。下に連れておりて、庭の草引きをする。久しぶりに綺麗になった!
 私は花壇の草を引いた。去年のパンジーの種がこぼれて何本か生えている。小さいが花も咲いている。ほかにも、ニゲラ、ポピー、はっか、などが生えているので、ここはばあちゃんには引かせられない。花と草の区別がつく時代は終わった。
 次に、玄関前の道路沿いの草を引く。ガードレールにくっつくようにして、草が生えている。そこも終わると、ばあちゃんは道路の向こう側に渡った。私はちょっと家に入り、戻って来ると、もうばあちゃんがいない。目を離すと、また、畑に向いて行く。もちろん連れ戻した。