またやられた

 雨だ。「台所に入れないように鍵をつけたのは正解だったね」と言いながら犬と散歩に行く。田んぼ作りのため、雨でもかっぱを着て野良に出ている人は多い。私もばあちゃんのいない日ならさっさと行く。でも今日こそパソコンで同窓会通信を作るのだ。洗濯物はガレージに干した。雨でも汚す人は汚す。
 ご機嫌で裏口から帰ると、台所で音がする。えっ?玄関側の戸が開いている!もちろんばあちゃんは台所にいて、何やら口をもぐもぐ、手をタオルでふいている。追っ払って冷蔵庫を開けると、どのパックもどのパックもふたが浮いている。ちゃんとよう閉めないから証拠が残る。床にはふりかけがこぼれている。ばあちゃんを呼んで「冷蔵庫開けて食べたやろ?」と言うと「忘れました」おっ!これはまともなお答え。「知りません」より事実に近い。「もう朝ご飯、いらんな」と部屋に追っ払う。
 あ〜、またまたやられた。前の2回は廊下から閉めて確かめるのが不十分で閉まっていなかった。これはもう鍵に慣れたので、確かめられるようになった。今回は昨夜から玄関側の鍵は開いていたのだ。閉めたかどうかを確かめるのを忘れたのだ。もう〜、どじ!
 しかたない。炊飯器のご飯の一番上の層も触っているかも知れないので、そこの部分を剥ぎ取って大きなおにぎりにしてばあちゃんにお茶と一緒に持たせた。今朝はもう手洗いも洗面もお経もご飯も省略だ。ばあちゃんはおとなしく部屋にいる。布団にもぐって外を見ている。雨だとわかったのだろう。