うわの空

 今月のケアマネさんの訪問日だ。ばあちゃんはデイから帰り、布団で寝ていた。昨日の「昼寝」が癖になったのかな?それなら暑い夏は助かるというもの。
 これ幸いと来月の予約やら、話が進む。「包括支援センター」の話も出て「他のケアマネさんは、文句を言う家族に慣れてないんじゃないの?私ぐらいでしょ」と笑い話。「田舎」だから家族がおとなしいのよ。「預かってもらっている」と遠慮しているかも知れない。でも、よそで陰口を言う人はいるものだ。それでは解決にならない。困ったときは、すぐに施設と話し合って解決策を探るに限るのに。
 話も終わる頃、ばあちゃんは起きてトイレに行ったあと、応接間にやってきた。「入れてもろてもよろしぃか?えらい、すんません」と言う。どこのお泊りかな?椅子に腰掛ける。ケアマネ君に「おっちゃん、せんど、みまへんな」といつものせりふを言う。実は朝出会っているそうだ。何度も「おっちゃん」と言う。ついで「おばちゃん」と言う。私が「ばあちゃん、この人、男か?女か?」と訊くと「男や」と言う。「ばあちゃん、今、おばちゃんて呼んだよ。お兄ちゃんやで」と言うと真顔になり「若いもんな」と、しごくまともなお答え。だったら「おっちゃん、せんど、みまへんな」は夢うつつかい?何も考えなくても言葉は出てくる。