頬かむり

 今朝はベッドの横で着替えたので、ベッドの前の棒にパジャマをかけたまま、朝ご飯に行った。終わって部屋に戻ったばあちゃんは、パジャマを着て廊下を歩いて来た。えっ!なんで?上下お揃いで「よそ行き」に見えたか?まさか、そんな細かいことに気づくまい。置いてあるから着替えた、というのが正しいだろう。これは「ななくさ行き」気分。また、普段着に着替えさせ、パジャマはとりあげた。
 しばらくテレビを見ていることにして、畑に行く用意をする。できたので、ばあちゃんに手ぬぐいを渡すと、頭に載せて、垂れ下がってきた両端をあごの下でくくろうとする。それは「頬かむり」で、泥棒スタイルだ。てぬぐいの両端を後ろにまわし、端を持って結ぶ「姉さんかむり」を、教えようと手を添えるのだが、ばあちゃんが拒否する。やっと一回結べたがふがふがにゆるい。私が見ていると、2回結べるが、見ていない時は麦藁帽子に載せてある手ぬぐいを見ても、頭にかぶるものdとは気づかないときもある。気づいても1回結びだったりする。日に日にできないことが増えていく。
 そのまま外に出たばあちゃんは、玄関外の石に腰かけていた。郵便やさんが来ると、手紙をもらったついでに「ここで待っとったらよろしいか?」と訊くもので、郵便やさんが「?」の顔になっていた。