認定調査

 今月のケアマネ君家庭訪問は認定調査だった。2年前に「要介護2」になったままだ。「ばあちゃん、認定、いくら?」と訊く人に「2」と言うと「うそ〜、4ぐらいの値打ち、あるで〜」と言われる。「値打ち」と言うか?だって、身体は丈夫やもんなぁ。
 ケアマネ君がばあちゃんにいろいろ質問する。答えがまったくすれ違う。「名前」は言えるが「生年月日」はだめ。私のことは「姉ちゃん」と言ってから「せわになっとるのは、この人や」と付け足す。わかってるの?
「家はどこですか?」と訊くと「上」と言う。上にあるのは畑で、その上はななくさだ。録音しておくんだった。書ききれないほど、めちゃくちゃで面白かった。「ここは、仕事に来とる」と言う。「他の人とはつきおぅてまへん。ここの人だけです」と言う。「今、何、してたんですか?」と訊くと「何でも食べます」と言う。質問が聞こえているの?聞こえても意味がわからないの?
「会ってまへん。事務室の人に言うたら、よう、わかってくれとってや。よろしうたのみます。ここで仕事さしてもらいます。心配やわぁ。そう言うてもろたら...」とまぁ、次から次へ、はてしなく続く。ばあちゃんが「心配やわぁ」と言うと、ケアマネ君が「心配いりません」ばあちゃんが「ここで泊めてもろてもよろしぃか?」と言うと「食事とお部屋は用意しました」...もう〜、勝手にやっとって。漫才やないけど、これを読むと友達は「あんたのおばあちゃん、めっちゃ、おもろいなぁ」と言うんだよね。おもろないねん、私は。
 ケアマネ君が、ばあちゃんの目の前に人差し指を立てて「これは、いくつに見えますか?」と訊く。ばあちゃんは「へ?」と言う。質問の意味がわかってない。ばあちゃんをケアマネ君の右横に並んで腰かけさせる。私が正面から二人を見ている。ケアマネ君が指を出すと、ばあちゃんはその指の20cm右側を見る。ケアマネ君が指をばあちゃんの顔の正面に移動させると、ばあちゃんは指の20cm右側へ視線を移す。これを二人の正面から見ていると、みもの!だ。ばあちゃんは、なんでわざわざ、指の右側を見るの?操り人形みたい。あらぬ方向を見ている。
 おもしろいねぇ。頭がくらくらする。「ばあちゃん、死ぬでないぞ。必ず生きて帰れよぅ〜」