遺書

 夫が遺族を慰めに行った。私もあとから行くつもりだったが、夫から電話がかかってきた。行くと「遺書があった」と言う。今日は、ご主人と喪主を務めた長男が、役所やら必要なところに出かけた。「知らなかった」と言って来る弔問客もあった。そして、やっと落ちついて故人のバッグを調べていたら、買い物メモや領収書の束の間に「遺書」があったのだ。チラシの裏を4つに折って書いてあった。「おとうちゃんへ」と長男・その妻・次男あてだった。「私の子供に生まれてきてくれてありがとう...家族仲良くくらして...」読んだご主人はまたも泣いておられた。度重なる入院と身体のしんどさで、自分の命の消えようとしているのを知っていたのだね。私も父の残した遺言を思い出した。私はこういうものをかけるだろうか?たぶん、書けないだろうね。