「こんなつらいことないわ」

 ケアマネ君と話していたら、ばあちゃんが起きてきた。「ここに入れてもろてもよろしいか?」「はいはい、ここに座って」「おやつもらおか?」「はい、どうぞ」ばあちゃんが「あんた、見まへんな」ケアマネ君は「そうですか?会いますよ」とかなんとか、ばあちゃんが、が〜が〜、うるさい。
 しばらくして出て行く。台所のドアをガチャガチャしている。私は「あれ、あれよ。ドアの鍵がゆるんでねじが取れたよ」と言う。しばらくして、あきらめたばあちゃんはトイレに行く。出たら、台所はもう忘れて応接間に来て「ここに入れてもろてもよろしいか?」とまた1から繰り返す。あはは〜、もう、何回、やったろう?その合間に私とケアマネ君は、来月・再来月のスケジュールを組み、ケアプランに印を押し、北海道の旅の話をする。
 ばあちゃんと畑に行ったときの話になる。ばあちゃんは帰り道「こんな苦しいことおまへん」と言いながら歩く。ひと聞き悪いやんか。私がいじめているように見えるやんか。
 ところがケアマネ君が言うには、プロのスタッフも、ステイの送迎で利用者である「認知症」のじいちゃん・ばあちゃんを乗せて移動中、窓を開けて「助けてくれー」と叫ぶ人がいるそうだ。「人さらいと間違われますよ!」と彼が言う!あはは〜おかしい、おかしい...あ、ごめん。たまらんわなぁ〜。お気の毒。よう頑張るわぁ〜と感心する。
 ふと見ると、ばあちゃんはおとなしい...目がとろんとしている。あれまぁ、しゃべりすぎでお疲れなんや〜。あはは。