畑に行けば、脱走だ

 いったん家に入り、お茶を飲む。おやつも少し。
 改めて戸締りをし、畑に行く。ばあちゃんは行きたがらない。
 下の段の小屋が見えると「あそこでちょっと休んでもよろしぃか?」と言う。「あかん、坂の途中で休んで」と言って、ヒマラヤ杉の根元で座らせた。私は栗拾い。植え込みから出てみると、ばあちゃんがいない!脱走するんだ、今でも。
 坂道の上を見ても、下を見ても、いない。行きたがらなかったので、家に帰ったかな?見に帰る。いない。竹薮から畑に上がったかな?いない。診療所から電話がかかってきた。「厨房の人がつかまえて、ガレージに座ってます」ありがとうございます。
 やっぱり、坂道をおりて、小屋の前から横に行き、竹薮から上にあがり、そのまま厨房に行ったのだ。昔は止まらず、事務所で保護されるか、診療所まで行ってしまっていた。今は途中の厨房の人が保護する体制ができているわけだ。ありがとうございます。厨房の人は3人が休憩中だった。年長の方が「ばあちゃん、いくつ?」「89歳です」「元気やねぇ。よう歩くねぇ」ばあちゃんは怒っている。「はよ、連れて行って!」ここで言えば上のほうの、ステイとか、ばあちゃんのお気に入りの施設に連れて行ってくれると思うらしい。厨房の人が「迎えに来てるやん」と言うと「こんなん、怒るだけや!」とよう〜わかっている。「ばあちゃんが怒られること、するからやろ?」と言うとえらい機嫌悪い。若い二人は笑っている。「さぁ、畑行って、草、引くよ」と無理矢理、強制連行だ。ばあちゃんは怒りながらも、抵抗しながらも、畑に着いてしまえば、草を引く。はぁ〜、やれやれ。