文化祭を見に行く

 ばあちゃんを起こし、文化祭を見に行く。会場はばあちゃんがデイサービスに行く「特養」の会議室だ。手芸品・絵・習字などが展示されている。ばあちゃんは「あ〜あ〜、何でっか?」と言いながら歩く。「あ〜、食べる」何?あ、生きた柿と栗とがかごに入っている。「な〜んにもわかりません」と言うくせに「食い物」だけは見逃さない。
「ねえちゃん、どないしますのん?」とくっついて行くので、かわいそうに、係の職員はばあちゃんの手をつないで歩いている。とちゅうからは、ボランティアに来ている地域の自治会の役員さんにくっついた。気の毒なので私が引き取ると、ばあちゃんは「あ〜、これは何や?」と言いながらどんどん歩くので、私は一部しか見られない。会場を3周ぐらい歩いて、やっと全部を見ることができた。あはは〜。
 私はここでも他の施設の職員や地域の自治会のボランティアの方々に「初対面のご挨拶」と言って「たたかうおばあちゃんセット」を配る。役員さんは「ばあちゃん、元気やな。年はいくつ?」と訊いてくる。ばあちゃんはやかましい。「おやつに行こう」と誘い、喫茶ルームに行く。ばあちゃんのおなじみの職員さんがいた。ばあちゃんはお菓子とジュースをもらって「けっこやな」とご機嫌だ。あはは、デイでもこうやってうるさいのだろう。ばあちゃんはジュースが残り少なくなると、職員さんの手元の紙パックを見て「あそこ」と言う。そんなに飲まなくていいの!1杯で充分よ。「さぁ、食べたから畑に行こう」と言うと「食べてへん!」と怒る。そうか、新しい経験は記憶できない頭やったわ。どんどん連れて出る。