「さくら会お食事会」がせまってきた。
 従姉妹が「あんたが掘るなら芋をあげる」と言う。わ、すてき。うちの芋よりずっと大きく甘い。「大きすぎて売れへん」と言う。なんでや!子供なら喜ぶで〜。「大家族がない。焼き芋は小さく細く、が、いいらしいよ。大きいのをあげても迷惑がられる。社会福祉なら寄付するわ」嬉しいなぁ。
 芋畑はうちの裏の高台だ。ばあちゃんを連れて行く。ばあちゃんは急な坂道も平気だ。こけたりしない。着くと「何しますのん?」「ここの草引き」大きな草は無いのだが、芋を掘ったあとの小さな草にとりつく。その間に芋を掘る。従姉妹がてつだってくれる。百姓は孤独な作業が多い。しゃべりながらすると気がまぎれる。従姉妹は「一人やと時間が長い」と言う。
 芋のつるを切り、土を掘ってどこに芋があるか、顔を見てから掘っていく。従姉妹は「姉ちゃんが『スコップよりフォークで掘るとわけなしに掘れる』と言うねん。やってみ」と言うので使ってみたら、うん、そうかも知れない。従姉妹はスコップで掘る。野菜のかごに5杯あった。従姉妹にブレーキつき一輪車を借りて2杯ずつ運んだ。急な坂を下りるときに、ブレーキがないとこけるかも知れない。実際には足を踏ん張って、とっとっと、と走り加減におりたらなんとか止まらずに行けた。平らなところに来ても加速度で走ってしまうけれど、ね。
 従姉妹は「昼やから」と帰り、ばあちゃん一人を残して運んでいたら、私がもう一度行こうとしたとき、ばあちゃん一人でぽこぽこ歩いて帰ってきた。 しかし目の前にあるのが「自分の家」とは思わないようで、ぺこぺこおじぎをして「えらいすんまへん」と言う。「ここでっか?」「はいはいどうぞ」昼ご飯を食べさせて「昼寝してください」と言うと寝てしまった。わ、大成功。残りの1杯を取りに行く。
 玄関に並べて干す。通りがかりのばあちゃんと孫娘に「あげるよ」と言うと、大きいのを探す。たはは〜。正常な数量感覚が育っているわ。散歩の友は
「ストーブ焼芋サイズがいいわ」と言う。やっぱり「大きすぎる」のはあかんらしい。