宅配便を作る

 秋の恒例の宅配便を作る。箱を並べ、野菜を詰める。
 最初は、30歳で死んでしまった教え子の奥さんと子どもに詰める。野菜以外にもコーヒー・油・お菓子・りんご・みかん・ラップにタオル、なんでもすぐに使えそうな物をもらったらためておいたのだ。大根・白菜・人参・薩摩芋・里芋・赤じゃがいも...こんな物、送料で買えるやん。でもわが子に送るように心をこめて詰める。「担任より先に死ぬなんて、この親不孝者」と言いながら入れて行く。6歳で父を亡くした子も、中学を卒業した。「おばあちゃんやおじいちゃん以外にも見守っているよ」ただそれだけで10年たった。なが〜い10年だった。
 あとは、友達や教え子や親戚や、ぽいぽい、箱に入れて行く。ぽいぽい、だけど心はこもっているのよ。これで秋も終わり、しばらく冬眠しよう。