墓参り

 2泊3日のステイから帰る。声がかすれている。でも「おとなしいほう」なんだそうである。昔はもっと「暴れていた」もんね。何しろ二人がかりで送ってきて「どうしました?」ときくと「僕が運転していると後ろから髪の毛を引っ張りますので、主任にばあちゃんの手を押さえていてもらいました」あはは〜。ひどかったなぁ〜。
 牛乳とバナナを半分食べる。入れ歯をはずす。ずいぶん汚れている。「はずして洗おう」と言われたのに「いやだ」と抵抗したのだろうね。
 昼寝をする。起きて、ポータブルトイレでおしっこをしている。それでも見たらパッドはぐしょぬれで、はずしてやった。家にいるときは紙パンツだけだが、ステイに行くとパッド併用である。家では一人でおしっこをするときに、パッドがずれてしまう。
 また牛乳と饅頭を食べる。 食べる前に「寝ます」と言うてたな。寝かさず、墓参りに行くかな。
 外に出ると、本人は「畑」と言う。トンネルを出たら、畑につながる階段に行きかけた。畑に行く気はないと思う。脱走する気だ。
 無理矢理「墓参り」と言っても、平気で坂道をしっかり歩く。墓に着いたら、奥へ奥へと行く。墓は30軒ぐらいの墓地で、北は石垣、落ちても2メートルの高さだ。でも、落ちなかった。西は山で、南はすべり台と砂場だけの児童公園とグランドゴルフ場。ばあちゃんが逃げたら山に行くだろうな。これは危険だ。探しようがない。安永さんが言うとおり「逃げたら寂しい方へ行く」のだろう。冬中、寝ていたものを、動き出すなりこのありさま。極端すぎる。「しんどい、やすまして」と言いながら、ばあちゃんの目と手は、畑から「ななくさ」を指す。腕力強し。春だなあ。