ケアマネちゃんが来た

 ばあちゃんのデイの送りの車に乗って「また来ちゃいました」とやって来た。「電話より直接、お顔を見て話したほうがよいと思いまして」
 ばあちゃんはまた、何か、やらかしたんか?
「トイレ誘導の件ですが、行ったらもうもれています」そうね、自分から「おしっこ」と行かなくなったもんね。「はっはっは、って言ってるときは、力が入ってますから、腹圧でちょっとずつもれてるかも知れません」そうか!気づかなかった。「お風呂のあとは新しい紙パンツにしますが、午後にパンツを取り替えようとすると抵抗されます。紙パッドを使ったらどうでしょう?」「家では一人でポータブルトイレを使うことがあって、自分でパンツをあげるときに、パッドが折れ曲がっても気がつかないし、私もいつもいつもトイレについて行けるわけではないので、使えないの。デイで管理してもらえるならいいです」「管理します。少しでもばあちゃんが落ち着いて暮らせるように」?はは〜。「パンツ、替えましょう」なんて言うと怒るんだろうな。わかった。そこで、家にあったパッド1袋40枚入りを渡した。
 新しい応接セットで、ばあちゃんとケアマネちゃんが並んで腰かけている。ばあちゃんは初めはうつむいておとなしかったが、ちょっとあやしい、という前にお菓子を渡す。食べている間はおとなしいから。なくなるとまた渡す。そのうち「おしまい」とケアマネちゃんが言うと、また怒るのでまた渡すと「もろてへん」ときた。ははは。これだからね。
 ばあちゃんが「行きましょか?」になりだすとケアマネちゃんは「もうすぐお食事ですから待ってください」「お食事、いただけますの?」「はい、用意します」それでしばらく私と二人で話し、ばあちゃんが怒るとケアマネちゃんは耳元で「今晩のご飯は何にしますか?」「何でもけっこです」「お肉にしますか?お魚にしますか?」「どっちでもけっこです」「今、お話して決めてますので、待ってください」う〜ん、うまいこと、言うなぁ!とプロの話術に関心。
 ステイのお兄さんなんか「家庭訪問です」とばあちゃんの送りのときに一緒に家に入り、応接間に入る。ばあちゃんは自分の部屋に行ってから、また応接間にくる。「よう来てくれて」と喜ぶと、お兄さんは「初めまして」やもんね。「おい、今、あんたが送って来たんやろ?」なんて突っこんではいけない。「さすがプロ」と関心したもんだ。
 ところで、そこへ、ピンポーン!玄関に同級生が来て「魚つりに行ってきた。食べ助け」と言って、魚を持って来た。「ようけあるから友達に配れ」と言う。和歌山へ行ったそうだ。イサキ。ばあちゃんに見せる。ケアマネちゃんは「ほら、お魚ですよ」あはは。おかげで今日はのんびりできた。雨降りで畑に行けない時は、最悪やもんね。ばあちゃんはおとなしく寝てくれた。ほーっ。