入所で全部が解決したわけではない

 何も変わらない。
 新たな問題は「入院」だ。
 契約書の説明のとき「ここではさいごの看取りはできません」と言われた。
 「病気かけがで入院するとき、救急車を呼んでも、ここに着いて1時間も出られないことがあります。受け入れ先の病院を探すのに時間がかかるのです。かかりつけの病院があれば、または家族で病院を探して交渉してくだされば、早くに受け入れ先が決まります」と言われる。
 ばあちゃんは丈夫で、入院したのは2回しかない。
 1回目は20年以上前に、家の前で交通事故にあった。道路に脚立を立てて上がり、松の剪定をしていて、車に脚立の足をすくわれ、下に落ちて、頭を打ち、気を失った。頭は少しの傷で、手足の骨折も無し。後遺症は無し。
 2回目は10年ぐらい前、心臓の検査のための入院で「冠状動脈の90%狭窄」という診断で心臓手帳とニトロ錠剤をもらって退院した。入院したら一時的精神錯乱に陥った。
 これではどちらも「かかりつけ病院」にはあたらない。一番近い民間病院は「騒ぐ人は退院」だそうで、ばあちゃんが今のままの怒りん坊だと無理だ。

 う〜ん、困るなぁ。
 選択肢 1.「突然死」を目指す。「ある朝、見に行ったら死んでいた」が、診療所の先生が出勤される時間まで待って、みてもらい、死亡診断書をもらう。
 選択肢 2.一番近い病院に入れてもらい、まだ騒ぐ元気があるようなら、ヘルパーさんか付き添いさんを雇う。
 選択肢 3.一番近い病院に入れてもらい、もうおとなしく寝たきりなら、すぐに退院して在宅で世話をする。