花山椒

 花山椒は雄の木で、4月の終わりに、まだ蕾のうちに摘み取って佃煮にする。つまり開かない前の雄花だ。今になると開いて、5本のおしべになっている。商品価値が無い。
 実山椒は雌の木で、今は角が2本出た弾丸のようだ。雌花の雌しべなのだ。佃煮やさんでさえ「山椒の木に雄と雌があることを知っている人は少ないだろう」と言う。学習図鑑に載っているのを知ったのは、私も「山の子動物物語」を書いてからだ。「50歳を過ぎてからわかったよ」と言うと「知らずに死んでいたかも知れないよ。知っただけでも儲けもの」と俳句の先輩に言われた。
 隣の田んぼの土手に古い山椒の木があったが、年をとって枯れてしまった。今、新しい枝が出た。子孫を残したわけだ。どうやら花山椒らしい。雄の木がどうやって子孫を作ったの?雄花に実がつく?変だよねえ。