ゲンノシヨウコ

 薬草。
 昔、この花をうちの前の道路のきわで取っている人がいて「どうするの?」と聞いたら「持って帰って庭に植える」と言う。その人は町から引っ越してきたと言う。うちのばあちゃんと同じ年だとわかり、友達になった。畑に来たり、編み物を教えてくれたりした。
 うちのじいちゃんが亡くなり、その人は「うちの主人が書いたんや0」と言って「南無阿弥陀仏」の掛け軸をくださった。もうすぐばあちゃんの三回忌なのでまた出して掛けるのだ。
 その書いてくれたじいちゃんが亡くなり、ばあちゃん二人は毎日、夕方のひとときを、うちの応接間の外の靴脱ぎ石に並んで座り、おしゃべりしていた。