稲刈り

 コンバインは遅いので私の仕事はあまり無い。田んぼの4つの隅を刈ったらあとは暇。夫と二人でしていたころは、夫が刈って、私が籾の袋を運んでいた。一輪車でテクテク。夫は夕方になると「寒いわ」と言う。コンバインに乗ったままで、体は動かないし、日陰に入ると寒いらしい。私は一輪車を押して歩いているから暑い。
 しかし、機械は万能ではない。地面がぬかるむとめり込む。倒れた稲の穂先が土に埋まっていると、コンバインの刃で刈れずに株ごと巻き上がってくるから、鎌で切ってやる。倒れた株を足で起こす。溝の草が伸び過ぎたら刈る。なかなか忙しい。
 ばあちゃんを連れて来たこともある。若いときは働き者で、籾の袋を担いで運んでいた。稲刈りについて来なくなると、一人で畑で草を引いていた。90歳前後になると、畑に一人で置いておけない。田んぼに連れて来て、パイプ椅子を置いて腰かけさせていると、稲刈りを見ていた。
 今日は振り返ると、白いさぎがいる。首を伸ばしたり縮めたりしながら虫を探している。