土手焼きはもう、しない

 晴れ。風強く、空気が冷たい。
 今日は「手伝い」がいるので、刈った草と、剪定した竹と木の枝を燃やす。
 今頃は土手焼きの季節だ。晴れて風のない日の午後にやっていた。
 土手焼きの熱さ戦禍の子を思う
 土手焼きは危ないので、複数で行く。子供が小さい頃は、皆、連れて行った。子供が、たいまつで火をつけて、大人は燃え広がらないように水を用意する。松の枝を水に浸して、田んぼに燃え広がる火をたたいて消すこともある。田んぼには前年の稲刈りでコンバインがばらまいたわらが落ちている。そのわらが全部燃え尽きたら、火は消えるのだが、悠長なことを言っていて、大きな火があがって消防車が来るとまずい。事前に「土手焼きをします」と消防署に言うのだ。
 それでも、火が横に広がると「山火事だ」と通報する人がいるので、今は土手焼きはしてはいけないことになっている。うちは、草を刈って集めて小さい規模で燃やす。
 土手焼きは、潜んでいる虫を殺し、また綺麗な草が生えてくるのを待つ。若草山の山焼きと同じだ。火をつける子供が「熱い〜」と言うと「土手焼きでも熱いのに、戦争で焼かれた子はもっと熱いだろう」と話す。
 土手焼きをしなくなっても、収穫に影響はない。