「柿の話」

 うちには、6本の柿の木があります。
 3本が甘柿で、収穫が早い順に「大久保柿」「富有柿」「霜かつぎ」です。
 このあたりで一般的なのは「久保柿」ですが、うちのはひとまわり大きい「大久保柿」です。「大久保柿」は丸型で、柔らかくとても甘いです。お店では売っていません。「富有柿」は普通に販売されています。     残りの3本が渋柿で、「平核無柿(ひらたねなし柿)」と「みの柿」です。
 「平核無柿」は焼酎で渋を抜きます。柿を取ったら、まず汚れをふいて、赤い順に並べます。容器に焼酎を入れ、柿をころがすようにして全体に焼酎をまぶし、10個ずつ二重のビニール袋に入れて密閉します。常温で1週間ぐらいで渋が抜けます。同じ色(同じ熟度)の柿を同じ袋に入れること、清潔に作ることがこつです。これは焼酎の風味があってとても美味しい。
 みの柿は、干し柿にします。細長くとんがっています。1本の小さい木に、たくさんなる年は、1000個もついたことがあり、小さい実でした。干すと、種だらけ!に感じます。今年は古木になって、「ならぬなら、切ってしまうぞ!」と思っていたら、上のほうに少しなりました。ところが、これが大きくて、1個、200gから230gもありました。
「霜かつぎ」は細長く、形は「みの柿」に似ていますが、甘柿です。サクサクした食感が珍しいですが、お店では見かけません。カラスが好んで食べます。
 「みの柿と霜かつぎは似ているが、カラスはどうしてみの柿を食べないのだろう?」と思っていたら、従姉妹が「みの柿も熟柿になったら食べるで。カラスはなんで、甘くなったのがわかるんやろ?」と言います。味見をしているのかも知れません。
 「桃栗3年柿8年」と言いますが、種から生えた柿は渋柿です。小さい実がきっちりつくと、私たちは「びんぼ柿」と言います。生け花にはいいかも知れません。この柿を台にして、美味しい柿を接ぎ木します。
 うちの柿はこうして先祖が接いでくれた物です。干し柿をたくさん作って売りに行っていたと聞きました。正月前の貴重な現金収入だったに違いありません。