「ミスサイゴン」

 梅田芸術劇場は早くも半分以上のお客さんが着席していた。私もプログラムで出演者を見る。
 2階席の一番前だったので、俳優さんの顔など見えない。姿で「あ〜、市村正親さんだ〜」とわかる。
 別の公演だが、私は市村さんを間近に見たことがある。1階の一番前の席だったときは、森公美子さん初め、俳優さんが目の前だった。通路のすぐの席なら、横を通られることもある。わくわくする。
 2階席はちょっと見えにくい。はしっこだと、舞台の端っこが見えにくい。だから全体の雰囲気を楽しむ。
 「ミスサイゴン」は初めて見る。プログラムのストーリーを読んでから見たが、なるほど、こんな話、ね。
 ベトナム戦争は私たちの青春時代だ。「アメリカはベトナムから手をひけ」とデモに行った世代だ。
 若い人たちの目にはどう映るのだろう?
 出演者も若い。市村さん以外は若い。終わってから、カーテンコールも終わって、市村さんの挨拶では「もう20年もやっている」そうだ。すごい。ほんとに、市村さんはすごい。主役が誰だかわからない。
 20年と言えば、出演者はまだ子供か少年少女だ。
 市村さんが「女優を紹介します」と言われた人は「『ミスサイゴン』を見て、このミュージカルに出たくて上京した」と言われた。大阪の人だとわかり、客席から拍手が聞こえた。地元から見に来てくれたお客さんだろう。
 私も教え子が出ていると見に来るからなあ。
 なんども舞台を見ていると、拍手のタイミングとか、カーテンコールになると声をかけたくなる。
 それで、生徒達や子供たちのクリスマス会に行っても、拍手も手拍子も、アンコールもしたくなる。もう〜、くせになっているのか、役者さんたちに合わせなきゃ、と思ってしまうのだ。
 そういうこともふくめて楽しかった。満足した。
 帰りは、やっぱり阪急梅田駅が近いのと、駅が寒くないので、阪急電車とバスを乗り継いで、えっちらおっちら帰った。もう暗くなっていた。