従兄弟の法事

 鈴蘭台のお寺で法事をされたので、お参りした。
 お経をあげてもらっていたら、雨が突然激しくなってきた。
 お昼の会席では、従姉妹が「雨でコシヒカリがこけた。稲刈りができひん」と言う。
 コシヒカリは倒れやすい。「コケヒカリ」と皮肉っている人がいるぐらいだ。
 篠山市の友達はコシヒカリを植えていて、春の連休に田植えをし、8月の終わりごろから稲刈りをする。暑い時に稲刈りは、はしかくて(稲刈りの時の稲の破片などの細かい粒子が飛んできて、皮膚がムズムズすること)いやだと思うが、台風が来る前に刈ってしまいたいだろう。
 友達は稲刈りのあと、10月半ばは黒豆の枝豆の収穫だ。ミニ同窓会で黒豆取りに行くと、「正月用の黒豆は干して、選別するのが大変!殺虫剤を撒いてないから虫食い豆になってる。」と言う。「枝豆の時に買うてくれるほうがあとが楽。ぎょうさん買うて」と言う。黒豆の枝豆は美味しいし、冷凍保存ができるから、たくさん買う人は多い。
 さて、牛を飼っている従兄弟の兄さんは「べこ市に出すから帰ったら運ぶ」と言う。「これから季節の変わり目に牛の病気がはやる。1頭がなったら隔離する」と言う。
 農協の役員をしている従兄弟は「うちの庭に猪が来た」と言って、スマホの画像を見せてくれた。従兄弟の家は有馬街道からちょっと横に入ったところだ。そんなところに猪が来て、しかもこちらを向いて牛のように「ハイ、ポーズ!」の感じで写っている。あきれてしまう。
 私は「猪の電柵器を盗られたよ」と言う。
 法事の主の従兄弟は神戸電鉄湊川に住んでいた。というか、今も奥さんも息子たちも住んでいる。
 従兄弟のお母さんがうちの「たたかうおばあちゃん」の姉さんなので、私はたまに野菜や苺を持って遊びに行っていた。帰りには湊川の市場で「明石の昼網」の魚を買ってもらったり、ダイエーでばあちゃんの服を買ったりした。いかなごの釘煮もおばちゃんが作って送ってくれた。このおばちゃんと一番上の姉さんは顔が似ていて声も似ていた。「わしや」(わたしや)と言って電話をしてきて、名乗ってくれないので「えっ?どっちや?」と思いながら、しばらく聞いていると、話の内容でわかってくる。「オレオレ詐欺」ではなく、私の実父も「わしや!」言うてかけてきたから、昔の人はおおらかなもんだ。相手がわかっているものだと信じている。
 従兄弟の孫たちも会うたびに背が伸びて、頼もしい。末っ子が高校生だと言う。
 食事が終わるころには小止みになった。