ピアノ演奏でボランティア

 子供が中学生の頃、知り合った人は、ピアノの先生で、PTAコーラス部の指導をされていた。秋になると、中学の文化活動発表会に、そのコーラス部も出演していた。中学生ともなると「お母さんが舞台に立つのは恥かしいからやめて」という生徒もいて、部員を集めるのは大変だった。本当は嬉しいくせに、そんな表現をする子もいるから、まことに思春期は難しい。
 さて、最近、ある老人ホームの「苑だより」に、そのピアノの先生が紹介された。毎月、老人ホームに出向いて、ピアノの生演奏をなさっているのだ。お年寄りの人も、美しいしらべに聞きほれたり、手拍子をしたり、懐かしい歌になると一緒に歌うのだそうだ。偉いなぁ。なかなかできることではない。頼まれたり、一度だけならできても、自発的であり、継続して足を運ぶところが偉い。
 その人に偶然出会ったので、「偉いね」と言うと、これから、ばあちゃんの通うホームにも、ボランティアの申し出に行くところだとおっしゃる。早速、ケアマネさんに連絡をとり、玄関まで来てもらった。介護主任さんが出てきてくださり、来週から演奏に行かれることになった。話は早い。世の中、いい人はいっぱいいるのだ、と嬉しくなる。