トイレ、お大事に

 ばあちゃんがいつうんちをしているかは知らない。
 今朝、外からあわてて帰り、トイレに入ったばあちゃんが、出てこない。トイレの戸の小さな窓に模様ガラスが入れてあり、中の戸があいているので、ばあちゃんの姿がぼんやり見える。
 うんうんうなっている...やっと終わったらしい。なんか変。見に行くことにした。ばあちゃんの右手にちょっとだけ、うんちがついている。左手は腰かけた足の下にしいている。出してごらん。すると手には、うんちがべっとり。水の中のうんちを触ったとしか思えない。どうやったらこうなるの?考えてもわからん。聞いても、ばあちゃんが覚えていないのだから、どうしようもない。腰かけていて、手が下にたまった水に届くだろうか?
 認知症なんてわけのわからん病名つけられても、ねえ。「記憶がないから、同じことを何度もきく」? そんなのたいしたことない。生活全体が破綻してるのよ、記憶がないことで。