残すもの

 同窓会のつづき。校長先生はいつも「今年も元気、元気でいきましょう」という年賀状をくださっていたが、いつのころからか、来なくなった。心配していたら、今年の松の内が過ぎた頃、おじょうさんから葉書がきて、去年、亡くなられたそうだ。ご冥福を祈る。
 校長先生の話は今も覚えている。「お金を残しなさい。だめなら、生き方を残しなさい。」
 私達の卒業文集を出してみた。懐かしくてつい、読みふけってしまう。
 前だけ向いて突っ走っていた「私」がいる。私達の一学年先輩たちの卒業式のときに、校長先生がなさったお話の部分を引用する。
 「死ぬまでに、何かこの世に残しておきたい、まず、お金を残しなさい。それができない人は、思想を残しなさい。そして、それでもできない人は、生き方を残すのだ。有名にならなくてもよい。ただ、自分の人生をりっぱに生きぬくことだ。死んでからも『ああ、あの人はりっぱな人だったな。』と言われるような人になることだ。」
 ねえ、みんな、覚えているでしょう。新しい体育館でのはじめての卒業式だったよね。私たちが入学したのは、二つの教室をぶち抜いた部屋だったもの。間に仕切りがあったんだよね。2年生のときに、校長先生が来られて、運動場の整備やらマラソン道路作りやら、作業をずいぶん頑張ったよね。そのマラソン道路を今も走っているのを、娘が入学して知ったときは、びっくりしたわ。そして「塩中の三本柱は、マラソン・コーラス・バズ学習です」と言われ、またびっくり。コーラスだって、私達のころもやっていたよ。つづける、ということは素晴らしい。
 では、久々の同窓会、再会を楽しみにしています。