目的は?

 ばあちゃんが起きないまま、昼になった。おかげで仕事ははかどった。
 1日に蒔いた稲の苗の箱のうち、半分の48枚を保温器に入れたあと、出してガレージに並べてあったのだが、それを畑に持って行った。残りの48枚を保温器から出してガレージにならべて水をかけた。使い終わった道具もあらった。
 終わった、終わった。さて、ばあちゃんを起こそう。ふとんにもぐって「頭が痛い」と言う。夜中に起きてさわぐからよ。昼夜逆転されてはたまらない。「もう昼や、起きなさい」と言うと、窓から外を見る。明るい。まぶしいぐらい。ばあちゃんは「雪や!」と言う。季節感もないもんなぁ。
 「静かにして!起きて、ごはんにしよう。」 顔を洗って、お経をあげて、ご飯を食べる。下の神さんを拝みに行く。帰ってきて「ご飯」と言うのを「ばあちゃん、ご飯はすんだよ」と言うと「お茶、飲むわ」と言う。飲んだあと「部屋に行って休んで」と言うと、出て行った。が、またお経をあげている。これは、もう、今日はあかんわ。
 ばあちゃんは「宮さんへ行くんやろ」と言う。畑には行きたくないらしい。ほっておくと、また診療所に行ってしまいそうだ。「一緒に行こう」と言って畑に連れてきたが、「あそこへ行くんやろ?」と言いながら、診療所のほうを指さしている。「何で?」と訊いてみると「参りに行くんやろ?」との返事。「今日は行かないよ。ここで草を引いて」と言うと「草、引きまんのんか?」と言う。引いても、それをどこへかたづけるかは、まったく忘れた! どこでも置いてある。