あと何分

 デイサービスの「次回のお知らせメモ」に「9時に迎えにきます」と書きたして、ばあちゃんの手さげバッグに入れておく。朝食後、部屋にもどったばあちゃんは、そのメモを取り出し、新聞の日付けと見比べては「今日はななくさ行きや」と言う。私が出した外出着に着替える。
 玄関で靴をはき、杖を出して、腕時計を見ながら、「あと20分で迎えに来る」「あと5分で来る」「もう9時、過ぎたで。行ってしもぅたんやろか?」と言えるばあちゃん。時間はよ〜く、わかっているみたい。
 ところが、夜中の12時に台所にやってきて「昼ご飯、食べる」と言う。また、ある日は、夕方5時ごろ、あたふたと畑から帰り「昼ご飯や。遅れた」と言うばあちゃん。時間を超越したように見えるがなぁ。