1年経てば

 ばあちゃんがいないまに、畑の草刈りをしたので、その草を集めに行った。ナスやきゅうりを植えた畝に敷くのだ。草マルチという。保温保湿のため。
 ばあちゃんが去年、何度も引いた、畑の周りの草地。巨大な草が茂っている。刈りとったら、見晴らしがよくなった。元々生えていた草を引いてしまって、石ころゴロゴロの荒地になり、やがて飛んできた種は、なかなか手強い。ごんた草、と言いたいぐらい。
 今年のばあちゃんは、この平地を見向きもしない。1年だけの悪あがきだった。それが見通せていたら、去年、「引くな。荒地になる」などと、ばあちゃんを叱る必要はなかった。「昼ご飯を食べに帰るという、意識がない」ばあちゃんに「百姓を忘れるな」と言うほうが無理だが、日常生活が破綻しても、百姓の邪魔をされるほうがいやだと思う。