ケアマネさんの家庭訪問

 今日は家庭訪問日だった。ケアマネさんは5時に来てくださった。でも!ばあちゃんは畑だ。3時過ぎにデイサービスから帰ると、さっさと行ってしまった。止めると怒るのだから、好きにしてもらうしかない。
 さて、ケアマネさんがおっしゃるには「ばあちゃんの認知症は、どのタイプでしょうか?」 私が訊きたいよ。でも、「ボケからの脱出」の金子満雄さんの分類だと「順調に年を重ねた結果の、老化現象であって、80歳を過ぎれば、半数がボケても不思議はない」
 ケアマネさんの話は「ドクターが『ばあちゃんの頭の中を見て見たい』とおっしゃるのですよ」と続く。
 私も見てみたいよ。一体どうなってるの?この頭!と思うよ。「それは何ですか?」と尋ねてみると「CTとかMRIのような、頭の輪切りの映像です」 そうね。
 ばあちゃんも家の門に植えてある松を剪定しようとして、脚立に乗っているときに、車に脚立の脚をすくわれ、どすんと落ちた。立派な交通事故であり、その時は脳外科に運ばれ、CTも撮った。内出血だった。一時的に精神錯乱状態に陥った。その時に足も手も、どこにも骨折がなかったのが、驚異的で、さすが運動神経は抜群だ。
 頭を打つと、あとでボケるかな?それよりも、私は加害者に言いたいのは、ばあちゃんの性格が余計にゆがんだのだ。命にかかわる怪我をしたとき、「あ〜、助かってよかった」とか「皆のお世話になってありがたい」とか思ってくれたら、よいが、ばあちゃんは「わしがおらん間に、畑はどうなるか?」ばかりが気になって、退院すると畑に飛んで行き「やっぱり、わしがおらんと、世の中はまわらん」という性格になってしまった。どうしてくれるねん!
 脱線しすぎた。でもね、先生、それはもっと早く言ってほしかった。ばあちゃんが今のデイサービスもステイも見てもらっている診療所に通いだしたのは、70歳になる前だ。そのころは「眠れない」とか言って、通院していた。私は、ばあちゃんの病名を聞いていなかった。「狭心症の検査をしてきなさい」と大病院を紹介されたのは、80歳になる前だ。知らずにいた私がうかつだった。もうこのころには、一人で薬の管理ができなくなっていた。「眠れない」と言っては、一晩に何度も、入眠剤を飲んだりするのだ。
 今になって、どうやって頭の中の検査ができよう? じっと寝て、MRIの機械に入れるか? 日本語で説明しても、理解できないんですよ。「じっとしていられない」のが病気なんですよ。
 さらに「頭の中がわかれば、たとえば、血流をよくする薬とかが、あるかも知れません」
 ばあちゃんに必要なのは、頭のなかの検査よりも、1日、ばあちゃんにくっついていて、ばあちゃんの心理や行動やらに全部つきあい、よりそって、「さて、どうしたら、ばあちゃんがしあわせに日々を送れるか」を探ってくれる研究者もしくはお医者さんなのです。