ステイからもどる

 ばあちゃんは3時に帰って来た。今回、送ってくださったのは課長だ。
 ばあちゃんは玄関に入るなり「何、しますのん?」と訊く。まだ「家に帰ってきた」という自覚がない。私が「服を着替えて畑に行くよ」と言うと、次の瞬間には振り返って、課長に「畑、行きます」と言った。
 課長は「今回はそんなに問題もなく、穏やかにいきましたよ。怒る前に手をうちましたから。洗濯物もたたんでもらいました」と報告して帰られた。
 ばあちゃんは部屋に着替えに行ったが、何をしていいか、わからないらしい。「これを着て」と普段着を指差して教える。着替えても「どこ行くのん?」と言うばかりで、動こうとしない。しかたなく「待っていて」と言って、連れて出た。畑も忘れたらしい。曲がり角に来るたびに「どこや?」と訊く。畑に着いても、なかなか「草を引く」と言わない。引き方を忘れたのか?
 それでも、畝の間をあちらこちらへ行きかけたので、もういいだろう。私は隣りへ回覧板とおみやげを持って行くことにした。
 普通に草引きに没頭した。夕方は早めに連れて帰った。でも、なんか「くさい」。もしかして下痢?
 手を洗ってご飯、の段取りがうまくいかない。ケンケンとがって、プンプン怒ってさっぱり言う事をきかない。ご飯もやたら、あわてて食べる。「誰も盗らない。あわてるな」とメモを書く始末。
 お風呂になった。やっぱりパンツが派手に汚れていた。足も汚れていたので「湯に入る前に足もお尻も洗ってよ」と言って行かせた。
                       
 今回の6泊7日のステイはきつかったようだ。プンプン怒って、私のいうことをきかないのは、ステイで、怒らせないように、先回りして手をうち、ばあちゃんのご機嫌をうかがっていたのだろう。女王様になっているね。下痢はおやつの与えすぎだろう。もう、もとにはもどらないのだろうか?しんどいね。