なんきんは難を除ける

 今年は秋の長雨がなく、稲もだんだん色づいてきた。そろそろ稲刈りの準備をしなくては、と夫が倉庫を片付けている。じゃがいもは出かけた芽をとり、段ボール箱につめて、芽を止めるりんごを1つづつ入れた。なんきんもコンテナに入れた。ところが、例のおばけなんきん、30個もある。「こんなに食えない。誰にでも、あげてこい」と命令が出た。
 いつまでも暑い。ばあちゃんを追い掛け回してお疲れの私も、何とか、人に会う気になって、道ゆく人を呼び止めた。「食べ助け。なんきん、もらって。でも、おいしくないで。それだけは言っておくわ」近所の知人の2人がもらってくれた。次は、孫3人のおばあちゃん(もちろん若い)に来てもらい、一輪車に乗せて家まで行った。途中で、もう一人の家に寄ると「なんきんは、難を逃れると言うから、玄関に飾っておく」と言う。これ以後、この手で、もらってもらった。かなり、お嫁に行ってくれた。