「玄関が開いていた」

 人が来ると、続くもので、昼過ぎに、古くからの友達が来た。「通りがかりに、玄関が開いていたから」と言う。「しょっちゅう来たら、ええやんか」と言うと「電話してくれたら、寄れるけど、自分から来るのはようせんの。気が弱いの」と言う。反対や。私は電話する暇がないんや。来る者拒まず、去る者追わず、自分から来て。
 さっそく畑に行って、収穫と森林浴を楽しんだ。
 彼女が言うには「実の親子だって、娘を忘れるよ。しかたないよ。もう、半分は、この世の人ではないんだから。それまでの生き方の積み重ねで、(認知症に)なるべくして、なる」 哲学者みたいに言うんだね。「頭がいんでる」と言うんだよ。頭だけ、お浄土に往ぬ。