じゃがいもの芽

 ばあちゃんは草を引いている。私は水をかけている。ばあちゃんが赤じゃがいもの畝に来た。
 ふと見ると、ばあちゃんの足元に、じゃがいもの芽らしき、くちゃくちゃの葉が落ちている。
赤じゃがいもの種とりのために、8月に植えたものだ。早く芽が出たものは、もうよく伸びて、30cmほどになっている。遅れて出たばかりの芽がばあちゃんにつまれてしまったのだ。草とまちがえたんだ。
 ところが、小屋の横に行くと、私が小屋の左側に倒して置いていた一輪車が、右側に移動し、おまけに小屋と資材置き場の間の狭いすき間に、立てて置いてある。「ほっておいたら盗られる」から隠してあるらしい。こういうところは、やたらと気がまわるんだな。「誰も盗らへん」
 夏の終わりごろ、いとこが来て「草刈り機をガレージに置かせて」と言う。「奥の田んぼの小屋に置いていたら、盗られた」と言う。その後、聞くと、いとこの草刈り機だけではなく、横のゴルフ場の作業小屋でも、草刈り機だけではなく、ポンプまで盗られたのだと言う。そんなものまで盗ってどうするん?恥も外聞もない。仁義もなにもない。