診療所に行く

 朝ご飯のあと「診療所に行きます」メモを見せる。着替える。外で待っているので「行くよ」と言うと「どこ行くのん?」「診療所やで」「 行ったことあるか?知らんわ」と言う。私もデイの主任のまねをして「そうや。初めてやで」と言って、畑まで来た。診療所はすぐ上に見えている。ばあちゃんは迷わずに行く。分かれ道に来て「こっちか?」と訊く方向もあっている。おもしろいね。体が覚えているのかな。
 行くと、もう外来の患者が一人、来ていた。ばあちゃんの元の友達だ。ばあちゃんが「まだか?」とか訊くのに、丁寧に答えてくれた。
 先生は元の所長さんだ。久しぶりだ。診察はすぐにすんだ。9月の老人検診の結果ももらったが、血液検査は異常なしだ。
 終わって廊下で待つときも、ばあちゃんは以前よりもおとなしくなった。「診てくれへん」と怒っていたころよりも、扱いやすい。