「何したらよろしいか?」

 今日は寒かった。ばあちゃんはとっくに電気敷き毛布で寝ている。ホームこたつも布団をセットしてある。が、もう、コンセントをさすとか、スイッチを入れたり切ったり、という気がない。だから、ホームこたつは暖かくないままだし、電気毛布は私がつけたり消したりしている。もっとも、ばあちゃんはコタツになんぞ入らない。横に置いた座布団にちょんと座っている。でも、それも束の間で、すぐに出て行く。トイレに行ったり...
 ばあちゃんがデイサービスから帰ったときも寒かった。「寒いから、畑、行かへん」と宣言した。そして、ばあちゃんの部屋にすっこんでいた。
 ケアマネさんが来られて、話をしていたら、ばあちゃんが廊下で動いている。応接間に呼び入れて「ここに座り」と座らせた。私がお茶を入れに立って、戻ってくると、ばあちゃんは「どないもしようがおまへん」と言う。「何したらよいか、教えておくなはれ」と言う。「何もせんと、おられしまへん」と言う。「のんびりしてたら、いいんですよ」と言うと「えらい、すんまへん。たのんます」と言う。私とケアマネさんは「ここがうちだと思ってないね」と観察する。ケアマネさんは優しいから「大丈夫ですよ」と言う。ばあちゃんは「どこから来てでしたん?車でっか?そら、よろしい」と言う。まだ、おべんちゃらは言えるやんか。ケアマネさんは帰られた。