けやき坂

 高校の創立50周年記念誌に原稿を集める事になって、久しぶりに母校に行った。久しぶりもなにも、卒業して初めてだと思う。40年近い。
 いまどき、なので門のところで「入校証」なる名札のような物をもらい、首にかけることになる。不審者と思われると困るから、ね。
 門を入ると、みごとな並木がある。「これ、何の木?」と訊くと、委員長がずっこけた。「これが、有名なけやき坂のけやきだよ」あ〜、そうなの。「自然派だと思っていたけど、知らないの?」と言うので「木や、花や、よくわからないよ」と言うしかない。「ねぇねぇ、写真、とろう」とカメラ持参の友が言う。並んで写した。
 編集会議には、10人が集まり、原稿は4人の人が書いた。じつは、同窓生100人に「原稿募集」の手紙を出したのは私だ。同窓会の幹事が2人いて、頼まれたので手紙を書いた。「えらく、早く書けたね」と喜んでくれた。だって、ぽんぽん、と打ち込んで、プリンターが印刷している間に、封筒の宛名を書く。あとは、1枚ずつ封筒に入れて、のりをはって、切手を貼るだけだ。
 すると、すぐに「わぁ〜、懐かしい!書く、書く」と携帯メールが来た。が、送り主がわからない。メールが長すぎて、最後の署名にいくまでに、メールが切れてしまった。笑っていてもわからない。「あなたはどなた?」と返事を書く。男性だった。あはは。
「編集会議をする」と、幹事が言ってきた。今度は、来ることができる範囲の人に案内を出した。こうして原稿を集めて、人を集める、までが私の仕事だ。あとは幹事長が「楽勝や!私にまかせてくれたまえ」で会議は終わった。
 「同窓会、やって」と幹事長に頼んだ。このいきおいでやらないと、できるわけがない。幹事団を4人選び、私が手紙係りになった。あとは、お昼ご飯でも、というわけだ。