帰っても、ばあちゃんの部屋は寒いので、台所に入った。上着をぬいで、キルティングの服を着せた。家にいるときは、ばあちゃんの手編みのセーター・チョッキを重ね着して、キルティング上着、下もキルティングのズボンだ。外へ出る時は上着をもう1枚、なんて器用なことはできないから、いつももこもこ着せている。帽子をかぶっているときもある。
「ばあちゃん、晩ご飯は食べてきたよね」と言うと、返事がない。干し柿を1つ渡すと、ちびちび食べている。おなかが大きいのだ。満腹感がわからなくても、食べ方がのろいのでわかる。「お風呂は入ってないよね。入る?」というわけ。ところが、あがってこない。「ばあちゃん、はよぅ、あがりなさい」と言うと「もう、あがっても、よろしぃのん?」と言う。ばあちゃんは、からすの行水タイプなのに、変だ。
 風呂からあがったときに見ると、足の甲がぱんぱんに膨らんでいる。「なんで?」と訊いてもわからない。うっ血やね。じっと腰掛けて動かず、というタイプでもないがなぁ。