菓子

 ばあちゃんは先に家に帰っていた。玄関の戸をたたいている。開かないので横に移動し、自分の部屋の雨戸を揺すぶっている。手に持つ袋には、回覧版とお菓子が5つ入っている。「誰にもらったの?」と訊いてみる。私が見れば姪だとわかるのだが、ばあちゃんは 「ななくさでもろぅた」と言う。でたらめだ。「今日は、ななくさには行ってないよ」と言うと「友人や」と言う。「こんなお菓子をくれるのは、ばあちゃんの姪やで。名前、言うてごらん」「知りません」「姪の名前、知らんのん?」と何度もきくと「さゆり」...どこかに小百合さんがいるのだろうか?