寒い「土曜日は休み」

 今朝は寒い。「土曜日は休み」のメモを持たせると、こたつに入っていた。いつもはお菓子の空き箱のような硬い紙にメモを書くのに、今日は手近にあったダイレクトメールの封筒の余白に書いた。それが間違いの元だ。ばあちゃんは「これは何でっか?」と持って来た。「読んでごらん」と言うと「土曜日は休み。休みやなかったら、何、しますのん?」と言う。また、とんだ屁理屈だ。 次は、封筒のあて先が気になるのか、会社名が気になるのか?「土曜日は休み」部分だけを切り取って渡した。これが次の間違いの元。ばあちゃんは気に入らないメモは捨てるのだ。どこかへ隠してしまった。
 ばあちゃんはおとなしい。部屋の戸を開ける音はしたが、ま、いいや。台所にはばあちゃんのおやつを置いてあるし、触られて困る物は隠してきた。それより「たたかうおばあちゃん」の発送作業をしよう。
 外で車の音がする。窓から見ると、去年お世話になったケアマネさんだ。「な〜に?」と言っている場合じゃなかった。ばあちゃんが乗っている。車で送ってもらって帰ってきたのだ。しまった。出て行ったのに気がつかなかった。「どこでみつけられたのでしょうか?」と訊くと「事務所近くで保護されて『泊めてもろてもよろしぃか』と言ったらしい。
 家に着いても「怒られへんやろか?」と言う。夢遊病だ。部屋のこたつに行ってからも「怒られる」と言うので「だれに?」と訊いてみると「ここの人」と言う。私は「ここの人ではない」らしい。「隣りの部屋にも誰かがいる」感覚だ。自分の家ではなく「お泊りに行く家」