「迎えに来い」「迎えに来る」

 晴れてくると、行きたくてたまらない。
 メモを書く。「ばあちゃんは、畑に行くと言って出て行く。畑で止まらずに、診療所に行く。大きな声で怒る。迷惑。家に電話がかかってくる。『ばあちゃんが怒るので、迎えに来てください』」しばらくにらんでいたが、とことこ玄関に出てくる。「迎えに来るから、待っとく」??どこから、そんな解釈になる?声を出して読ませてみた。読める。が「迎え」だけに反応するみたいだ。しまった。また失敗。ばあちゃんには「過去が無い」のだった。読んでもみんな、未来になってしまう。
「これから、泊まりに行く」と言う。そのメモは取り上げて「今日はばあちゃんの家で寝る。布団はここ」と書き直す。「晩ご飯まで待って」と書いてみる。あかん。「泊まりに行く」と言ってきかない。そりゃぁ「自分の家はここ」意識がないなら、ここにいて、私にしかられているより、ステイに行って優しくしてもらうほうがいいだろう。
 お経をあげているうちに、忘れるか、と思ったら、忘れない。ご飯を食べても、まだ覚えていて「これから行く」と言う。無理矢理、布団に入れて、起きてきたのをまた寝かせて、やっと静かになった。これだけ記憶力があるのに、方向を間違うからとんでもないことになる。うまくいかないなあ。時間はつぶれるが...