法事

 いとこから電話がかかってきて「法事をする」と言う。ばあちゃんの姉さんの17回忌だ。
 いとこが「ばあちゃん、どないしとる?」と訊くから「デイとステイのお世話になってる」と言うと「そうか。えらいけど、頼むわ」と言う。たのむ、と言われても、縁あって親子になって育ててもらったのだもの、ボケたからと言って私が逃げるわけはないさ。「夫婦して養子養女だから、他人に『ボケた』と言い歩いている」と思うのだろうか?言い歩かなくても、ばあちゃんが歩けば『認知症の広告塔』だし、人のお世話にならねば放浪したときに助けてもらえない。
 また夫の親戚からも法事の案内葉書が来て、お姉さんから相談の電話がかかってきた。
ついでに「ボケた本人はなんにもわからへんのやから、しあわせやん」と言われた。それは違う!「自分がわからないことだらけで、困っている」ことはちゃんとわかっているのが、15日のばあちゃんの言葉で理解してもらえるだろう。「わからしまへん。どないしましょ?教えておくなはれ」と言っている。本人は心細いのだ。情けない顔をするもの。それ自体もすぐに忘れるのだけれど...