まず 母の家に行った

 貝塚は私の生まれたまちだ。生後半年ぐらいで今の西宮の山奥に来て、ばあちゃんに育ててもらったが、子供の頃に遊びに行って「なつかしい」まちだ。今でもおばちゃんといとこたちが住んでいるが、もうしばらく行っていない。そこで、まず、泉大津の弟の奥さんにメールで「19日の夜、泊めて」と頼んだ。「朗読劇を見に行く」と書くと「では、私達も行く」と言ってくれた。車で行くなら簡単なので、それは嬉しい。
 昼前に家に着いた。母も弟夫妻も姪二人も元気だった。「実家」と呼んでいいのだろうか?「実家に里帰り」と言う友達がうらやましいな、と思うが、私の家は西宮なので「里帰り」するというのも、ねえ。もちろん、たまには野菜を持って行くが、1時間もいれば「帰るわ!ばあちゃんがデイサービスから帰る前に家に着いておかないと、誰もいないとばあちゃんが家に入れない」と言う訳だ。今回は、ばあちゃんをステイにお願いしてきた。
 昼ごろ、弟運転の車で出発。「泉州市民マラソン」をしていた。昼よりずっと前から終わるまで、マラソン道路を横断できない。道にはおそろいのジャンパーを着たスタッフが大勢!出て、交通整理やら、給水やらしている。これはおおごとだ。マラソンは距離も長いし、たくさんの人が手伝うのだなあ。ボランティアだろうか?大変だ。
 困ったことに、その道路を渡らなければ、目的地にたどり着けない。「どこまで行ったら渡れるかな?」と言いながら南下すると、関空まで行ってしまった。高いホテルが見える。あれあれ。ところが、弟夫妻は「こんな南まで交通規制か。事前に確認しましょう」とか「長いドライブやね」と言いながら、ちっともあわてず、騒がず、怒らない。とても、穏やかな性格なんだ。仲の良いのにも感心した。
 弟夫妻が「おいしいおそばやさんに案内します」と言う。着いたら、満員だった。次々に客は帰るが、次のグループが「順番が来たよ〜」と外で待っていた家族を呼んできた。なんと10数人の家族連れだったので、もう、あきれた〜。やっと、私達もカウンターに座り、ご亭主がてんぷらをあげるのや、奥さまらしき人が大釜でそばをゆでるのをじっくり見学した。これは「見もの」だった。「わぁ〜!」と言いながら見た。食べたら、とてもおいしかった。食べ終わり「おいしいですね!」と言うと、ご亭主の顔がほっとほころんだ。奥さまに「ゆでるの、すごいですね!」と言うと「いえ、誰でもできますよ」と言いながらも、とても良い笑顔を返してくださった。やはり、言葉で喜びを表わせば、必ず相手に伝わるのだ。
 実は、私は「行列に並ぶ」のが苦手で、一人では行かない。今回は弟のおかげで、おいしいものに出会えた。