興奮状態

 今日のばあちゃんは草にとりつかれている。昼に夫と「ばあちゃんはもう草とたたかわなくなったね」と言っていたのに、今日は違う。私が何か言うと怒る。
 夕方、お尻丸だしのばあちゃんに「立って」と言ってパンツもズボンもあげさせていると、エプロンのポケットが赤い。苺を入れているのだ。「ばあちゃん、苺、出して」と言うと、いきなり投げ捨てた。「何、するの?ばあちゃん、苺はポケットに入れないのよ。口に入れる」食べてもよいが、ポケットに隠さないでくれ。入れるなり記憶から消えるのだから。ばあちゃんは今日の草引きで、パオパオトンネルの中の苺が赤く色づいたのに気づいたらしい。
 ポケットはまだまだふくらんでいる。軍手、ビニール紐、ポケットタオルだった。紐は落ちていたのを拾ったようだ。