さし苗

 今日でさし苗を終わらせたいので、ばあちゃんを畑に置いて田んぼに行った。午前中はなんとか畑で頑張った。
 12時半に畑に迎えに行った。一緒に歩いて下まで下りると、ばあちゃんは「こんなとこに車があるで」と言う。夫のトラックだ。「そうやな」と言いながら歩いて行くと、国道の歩道を通り、階段を下りて「休む」と言って段に腰をおろした。トラックが下りて来るのが見えると「車、来たで」と言う。乗りたいのだろう。「行ってしもたわ」と言う。トラックは国道を東に走り去った。信号で左折して家に帰るのだ。乗りたかったのだろう。夫が「車を見ても、誰のか、わからんのやな」とあとで言っていた。
 昼ご飯のあと「昼寝」のメモを持たせると、ベッドに上がって、鎌首をもたげ、外を見ている。「ばあちゃん、田んぼに行くけど、ばあちゃんはどうする?」と訊くと「田植えするんならします」と言う。もう何年もやらせてない、どころか、田んぼにすら来ていない。「田植えはもうすんだ」と言うと「何でも、あんたが言うとおり、します」と言う。「できません」と言うと「します」と言う。
「はたけ、行きます」と言うので一緒に行った。と言っても、ばあちゃんが出て、私が家の鍵をかけたから追いつくわけで、ばあちゃんはのろのろのろのろ歩く。いやなのだろうが、我慢して、今日1日あればさし苗は終わる。「昼寝してから畑」パターンにしてあげるからね。
 ところが、右から車が来ると見るや、いきなり横断し始めた!「ばあちゃん、あかん!車や!」と叫ぶと、あとで夫が「田んぼにいた人がびっくりしてたで」と言う。一人で行かせるのはやめよう。
 さし苗は4時半に終わった。ばあちゃんを迎えに畑に来てびっくり。弁慶草は虫だらけだ!薬をかけた。もらった「さやいんげん豆」の苗を植えた。雨が降らないので水かけもした。6時半になってしまった。帰ることにしたが、ばあちゃんをほっておいて、横道にそれて苗箱に水をかけ、ばあちゃんに追いつこうと見ると、ばあちゃんは階段をおりて、土手の草を引いている。またまたいらんことを!口では「しんどい」と言いながら、手はいらんことばかりする。「ばあちゃん、土手の草を引いたらあかん。土手がずれる」まったく目が離せない。