長寿のお祝い

 昨夜は有馬グランドホテルに集合だった。弟の一家とその妻のお姉さんの一家、どちらも6人ずつで、そこに婚約者と新婚の花嫁さんが加わり、合計14名だ。私たち夫婦もお祝いにかけつけて、一緒に温泉につかり、祝いの宴に加わった。
 地下の宴会場の入り口には「喜寿を祝う会」と名前入りの看板が出してあった。というか、電気のつく角柱だ。
 床の間には鶴の掛け軸。弟が「高齢の鶴やな」と言う。「長寿の鶴」と言いなさい。
 その上に娘たちが書いた「長寿を祝う会」の大きな模造紙の横断幕。「娘達」と言っても二人姉妹で、妹が私の弟の妻にあたる。彼女らのお父さんが80歳、お母さんが77歳、お姉さんのお姑さんも77歳なのだ。(お舅さんは他界)
 司会は二人姉妹で、乾杯はかわいい食前酒、ゆずのお酒だ。音頭は80歳のお父さんがとる。
 祝いの膳にかけられた大きな紙をとると、あわびが動いている!お姉さんの長女が朗らか100パーセントの子で、「わぁ〜!逆さになった〜!こわい〜!」と言う。元気なあわびにあたったのか、怒って裏返ってしまった。それを陶板の上にのせ、下から火をつける。「かわいそう〜!」と言おうものなら「しっかり食べてあげないと、成仏できないよ」と弟が言う。焼けたらとても柔らかくおいしいものだった。初めて食べた。
 お膳の器も鶴と亀だ。心配りが行き届いている。つぎつぎに出てくる料理がどれもみなおいしかった。
 さて、宴会は乾杯のあと、すぐにお母さんが舞いを披露された。お母さんはお弟子さんもいるし、舞台にも立たれるだろうし、施設に慰問にも行かれる。とても素敵な「おばあちゃま」だ。
 孫一同が整列し、自己紹介をする。お姉さんの長女の婚約者が同行し、長女は「16歳から10年愛」だと言う。それはそれはおめでとう。弟の長男はうちの次男と同級生で、去年から働いているが、もうこの7月に入籍し、一緒にくらしている。13日から新婚旅行に行き、12月には結婚式と披露宴をする。おめでとう、おめでとう。うらやましいな。
 カラオケで歌を披露する者、踊る者...お姉さんの姑さんが「鳥取砂丘」を歌い、お母さんがまた踊られた。仲がよいのだ。幸せ、幸せ。お姉さんの長男はアクロバットみたいなダンスをしてくれた。すごい!拍手、拍手!ダンサーではない、コックさんなのだ、というからすごい。多才多芸な家族だ。撮影は専門学校で勉強し、写真を扱う会社で働く長女がしている。
 ビンゴゲームをする。司会は新婚夫妻。ビンゴの景品の買出しはお姉さんと77歳のばあちゃん二人だったそうだ。大荷物をさげて帰ってきた。そして、紙袋についているリボンには名刺大のカードに「ありがとう」と二人のばあちゃんの名前が入ってカットも入り、綺麗にプリントされている。「これ、私が作ったよ。今。パソコンを習っているの」とお姑さんが言われる。すごいやん。私には「携帯電話で日記を書くの?どうやって?教えて」とも言われる。「何でも挑戦するねん」とも「いつも、ありがとう、感謝してます、と言うと、うまいこと行くよ」と言われる。これが長寿、元気な長寿の秘訣なのだ。
「幸せですね」と言うと、お姑さんは「嫁さんが優しい」と言われるし、お父さんとお母さんは「婿に恵まれた」と言われる。私たちも参加してよかったよ。
 孫たちから、プレゼントを渡されると、おばあちゃまたち二人は嬉しくて涙ぐんでおられた。こんな家族は見たことないなあ。「他に無いよ」と姪に言うと「そうかなぁ。うちの家族、ちょっと濃いかなぁ?」だって!充分、濃いよ!
 ところで、途中で「進行、うまいね。お姉さんはどんな仕事?」とこっそり訊くと「小学校の先生!」えーっ!プロなんか!弟の嫁さんは幼稚園の先生。企画・進行、すべてプロや。「あるなしクイズ」もやったが、難しい。ちっともわからない。やわらか頭になれない。「職員旅行でうけてたので、借りてきた。難しい?」と笑っておられたが、途中でギブアップだ。そんなこんなで、弟が「万歳三唱」し、無事おひらきになった。
 宴のあと、孫娘らはエステ、孫息子らはじいちゃんとマージャン。私たちと弟とお姉さん夫妻と婚約者君はバーで、ゆっくり二次会。何でも「孫達、昨日は嬉しくて眠れなかったし、朝も早起き、遠足の小学生みたい」だったそうな。これだけ準備してくれば、楽しみも倍増するよ。