「認知症と生活習慣」

 7月28日のさくら会に取材に来た大学生が、今日はつどい場さくらちゃんに来たので、介護者数人が呼ばれて取材に応じた。大阪の大学で福祉を学んでいる4年生の男女1名ずつだ。
 主旨は「今後高齢者が増え、アルツハイマー認知症になる人も増えてきます。私は、笑顔が無くなった認知症のかたがたを実習やアルバイト先で何人もみました。笑顔は、感情を心から表現しているときであり、楽しく生きている証の一つであると思います。そこで、アルツハイマー認知症の緩和について考えていこうと思い、一番大切なことは生活習慣なのではないかと考えました。グループインタビューでは、家族の皆さんから認知症になる前となった後で生活がどのように変化していったかについてお伺いしたいと思います」
「質問内容」と「私の答え」(ばあちゃんの場合)333
+自己紹介 すもも、ばあちゃんは88歳、要介護2
+何人で住んでいるか? 4人(ばあちゃん、夫、私、長男)
+家族関係 朝起きてから、ばあちゃんのテンションをあげないようになるべく話をしない。決まった日常動作で流れていく。「笑顔を引き出す」とは矛盾するが、話をさせると「わかりません。教えてください、えらいすんません」になり、不安の迷路に入り込む。
+性格 ぼける前のこと? 若いときから「自分は偉い、なんでも出来る」と負けん気が強かったね。だからこそ、戦後の困難な時期を頑張りで乗り切り、農地も山も買ったわけ。ただし、もんくと愚痴が多く、自己中心的で、人の忠告には耳を貸さない。
+趣味・日課 「手先を使うとぼけへんねんで」と言いながら、畑でせいを出し、冬は縫い物と編み物をしていた。でも!ぼけた!それは編み物も草引きも「単純作業の繰り返し」だったのだ。まず「野菜の苗を植えつける間隔」が狭くなり、次にはわからなくなり、興味を失った。編み物も「寸法」がわからなくなり、今、何を作っているか、がわからなくなった。
+好きなこと ? 不明。「なにしますのん?」の連続だから
+健康面 首から下は健康そのもの。10年前の狭心症は忘れた。腰痛も忘れた。血液検査はばっちりオーケー。
+食生活 出されたら食べる。
+入浴・排泄 一人で入浴できるが洗わない。体をふくのは不十分。排泄はこのごろ、おしっこが出ても平気で草引きをしている。ショートステイでは紙パンツをはいている。「パンツをはきかえるのは、ストレスがたまるから、多少高くても良い紙パンツを使えば、1日もつ」という方針であるそうな。これを言うと、学生二人も、その場にいた一同(本日はおおにぎわいで、10人以上いたかな?)どよめいた。「ひど〜い」と思った?かな
+一日の流れ 朝、起きてトイレ・お経・ご飯。デイかステイに行く。行かない日は畑に行く。
+運動 運動はしない。畑仕事は同じ姿勢で、同じ筋肉を使うので「運動」にはならない。しまった。「デイでスポーツをすると、運動神経は抜群に良い」というのを言い忘れた。
+外出する回数 デイ以外は無し。
+近所付き合いまたは友達付き合い 昔は自分で植えた野菜を近所の人、誰にでもあげていた。ただし、お返しに飴ちゃん一つでも持ってくると、それ以後もあげていたが、持ってこない人とはつきあわない。あはは。わかりやすい性格でしょう。
+アルコール・たばこ 無し
+仕事 30歳から農業 米と野菜を市場に出荷。
もう一人の男子学生から「家族の会に入っていることについて」質問
+どこで「会」の存在を知ったか? 最初は市政ニュース。市の社会福祉協議会が後援しているから。
+参加するためにどのように努力するか? ショ−トステイが取れるように手配する。
+参加してよかったこと 介護の情報が得られる。勉強になる。

 若い学生さんがいろいろ考えて研究し、卒業論文をまとめようとするのには好感が持てる。しかし、今までにお医者さんが研究してきたものがあるので、まず、調べてみて、それを確かめてみることも必要だ。そのため「認知症予防の10か条」を書きこんだ「たたかうおばあちゃん42号」をプレゼントした。
 ばあちゃんの行くショートステイ認知症の人対応の棟があり、鍵がかけられる。外へ出られないようになっている。若い二人は「拘束はいけない」と習った時代なので、不思議らしい。「でもね、鍵がかかるから安心なんだよ。ぼけばあちゃんをなめてはいけない。脱走するんだよ。テーブルに椅子をのせ、側にいる者にその椅子を押さえさせて、天窓を開けて脱走するんだよ。下のほうの狭い隙間からも脱走するよ。脱走したら命にかかわる。何人も死んだし、そのままみつからない人もいるよ。危険がいっぱいさ」