ばあちゃんの兄嫁さんもパーキンソン病だった 

 うん、よくわかる説明だ。
 じつは、ばあちゃんには兄さんがいて、その奥さんは13年もねたきり生活をしていた。私は脳卒中の後遺症だと思っていた。ばあちゃんが「寝てばっかりおるからなおらへんのや。起きて台所仕事をしたらええ」と言っていたのを聞いて、自分では見舞いにいかなかったからだ。一緒に家に行っても、ばあちゃんだけが部屋に行って「『わしのこと、わかるか?』言うても、わからへん」と言っていた。しかたないだろ。今のばあちゃんだって、見舞い客どころか、家族の私や夫すらわからない。
 そのおばちゃんが死んで、お葬式のときに息子が挨拶をして「母はパーキンソン病で闘病しておりました」と言うのを聞いて「え?そうだったのか」と思ったのだった。それなら「怠けて寝ている」のではなく、歩きたくても歩けないのだ。母はこんなふうに、自分の親戚でも好き嫌いが激しかったのだ。
 兄さんは「わしがみる」と言って、おばちゃんを入院させずに家でサービスや人の助けを借りながら一緒に暮らしていた。おばちゃんが亡くなって、49日もすんだ2ヵ月後の同じ日にあっけなく逝ってしまった。「仲よしやなあ、同じ命日で、墓参りが1回ですむ」と弟が言ったものだ。