「ちょっと用事」

 ご飯のあとは「昼寝」のメモを持たせたのだ。布団に入ったのも見届けた。でも、起きてきた。夏の暑さなら、ばてて寝てくれるのに、汗は出ても、さわやかで疲れない季節に移っているのだ。
 しかたない。また連れて出る。午後はたまねぎを植える。いのししに踏まれたので、苗が足りないが、しかたないし、なぁ。すぐに終わったので、燃やした灰を花の畝に撒くことにした。バケツに入れて運んでいると、ばあちゃんがあわてて帰るほうに行く。「どこ、行くのん?」と訊くと「返ります」と言う。「家には誰もいないし、鍵がかかっていて入れないよ。どうするの?」と訊くと「すももがおる」と言う!私は自分の鼻をさして「ここ!」と言うと、まだ納得しない。「草、引いて」と連れ戻し。また古鍋を持たせて「草はここに入れて」と言う。私がバケツに1杯分の灰を振ってくると、ばあちゃんは鍋にいっぱいの草を引き終わるタイミングらしい。またいそいそと帰りかける。「ばあちゃん、どこ、行くの?「家に帰ります」「なんで?」「ちょっと用事」と言う。何の用事だろう?これを4回繰り返す。やっと灰を撒き終えたので、連れて帰った。