畑に来る

 夫から電話で「ばあちゃんが畑に行ったで」と言う。友達が来て葉牡丹を取り、帰ってから、ばあちゃんを探しに下におりたが、いない。藪から上にあがると、ばあちゃんは弁慶草の畝にしゃがんで草を引いているが、帽子はかぶっていないし、長靴は私の新品だ。裏玄関の靴の棚の2段目に置いていたのを履いてきてしまった。まったく、目に入る所には置いて置けないのだな。腹がたってきた。おとなしい、休息日がいるか?だって?とんでもない。こんなに夕方、うろつきたいなら目が放せない。ばあちゃんに休息日が必要でも、私が仕事にならないなら、もうデイを探してかけもちでも毎日利用しよう。やってられない。
 連れて帰る。私は犬を連れて野菜の袋を持っている。ばあちゃんは杖がある分、歩くのが速い。下に下りて国道に出たら、車の列が信号待ちをしている。ばあちゃんは私より先に歩き、ガードレールにもたれるように身を乗り出し、止まっている車に向かって「それに乗せてもろてもよろしぃか?」と言う。とんでもない。ばあちゃんを引きちぎるようにして、道の端に寄せた。まったく!これでは誘拐もされるし、道行く車を止めたり、何でも乗るようではどこに行くか、わからない。油断もすきもない。